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公開日:2026.04.13

更新日:2026.04.13

フリーランス新法のデメリットとは?企業と個人への影響を5分で徹底解説

フリーランス新法の施行により、取引の透明性が高まる一方で、受注者・発注者の双方に新たな負担やリスクも生じます。
契約条件の明示義務や報酬支払いルールの厳格化、禁止行為の明確化など、実務に直結する変更点を正しく理解していなければ、思わぬトラブルや機会損失につながる可能性もあるでしょう。

本記事では制度の基礎知識からデメリット、メリット、具体的な対策までを整理し、実務目線で解説します。

フリーランス新法の基礎知識!施行日や対象者を整理

フリーランス新法は、フリーランスと発注者の取引を公正にし、条件明示や報酬支払などのルールを整える法律です。
施行時期や対象となる当事者区分を押さえることで、契約書面の整備や運用の注意点が見えてきます。

まずは、制度の全体像を確認しましょう。

2024年11月施行「フリーランス保護新法」の概要

2024年11月施行の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆるフリーランス新法)」は、発注側に取引条件の明示や報酬の支払期日設定などを求め、フリーランスの立場を守ることを狙いとします。
あわせて募集情報の適正化、ハラスメントへの配慮、解除や更新の考え方なども論点になり、日常の契約管理がより重要です。

一方で、書面やシステム対応の見直しが必要になるため、準備不足だと手続きが滞ったり、発注判断が慎重になったりする場面も想定されます。

新法の対象となる「特定受託事業者」と「特定業務委託事業者」

新法で押さえるべきは、受ける側の「特定受託事業者」と、委託する側の「特定業務委託事業者」という区分です。

特定受託事業者は、従業員を使用しないフリーランス(個人)など、保護の中心となる受託者を指します。

一方の特定業務委託事業者は、業務を外部に委託する企業や団体で、取引条件の明示や支払期日設定などの義務を負う立場です。

区分が明確になると、何をいつ提示し、どのように合意形成するかが整理しやすくなります。

【受注者側】フリーランス新法で個人が感じるデメリットとリスク

フリーランス新法は取引の透明性向上という利点がある一方で、受注者側にとっては事務負担や契約管理の厳格化といった現実的な課題も生じます。
特に書面対応や発注側の慎重姿勢は、案件獲得や業務スピードに影響を与える可能性があります。

以下で、デメリットとリスクを見ていきましょう。

事務手続きの煩雑化と契約締結までの時間増加

新法では取引条件の明示や書面交付が求められるため、契約書の作成・確認作業が増え、締結までに時間を要する場面が想定されます。
複数案件を並行するフリーランスにとっては、契約チェックや条件調整の工数が積み重なり、着手までのリードタイムが延びる可能性があります。

また迅速さが競争力となる分野では、この事務的負担が機会損失につながる懸念もあるでしょう。

企業側の発注控えやコンプライアンス厳格化による契約終了

企業側が法令対応を慎重に進める過程で、外部委託そのものを見直す動きが出る可能性も否定できません。

発注事業者は取引条件明示等の対応が必要になるため、運用整備に時間がかかる場合があります。
特に専属性が高い取引形態では影響を受けやすく、取引先分散や契約条件の明確化がこれまで以上に重要になります。

インボイス制度との兼ね合いで生じる負担感

フリーランス新法とインボイス制度は別制度であり、取引実務では両方の要件を同時に満たす必要が生じる場合があります。

取引条件の書面化に加え、適格請求書の発行・保存や消費税区分の確認など、実務上の作業は増加するでしょう。
税務知識の習得や会計ソフトの見直しが必要になるケースもあり、本業に充てられる時間が圧迫される懸念もあります。

【発注者側】フリーランス新法が企業に与えるデメリットと業務負担

フリーランス新法は企業側にも具体的な対応義務を課し、契約管理や社内体制整備の負担を増やします。
取引条件の明示や配慮義務への対応は、管理コストや内部調整工数の増大につながる可能性があります。

ここでは、企業側が直面し得る主な課題を整理していきましょう。

取引条件の明示義務化による管理コストの増大

企業は業務内容、報酬額、支払期日などを明確に示す必要があり、契約書や発注書の整備・更新作業が増加します。
案件ごとに条件を確認し記録を保存する体制づくりが求められ、法務や総務部門の負担が拡大する可能性があります。

ハラスメント対策や育児介護配慮義務への対応工数

新法では、フリーランスに対してもハラスメント防止措置や育児・介護への配慮が求められます。
これに伴い、相談窓口の整備や社内研修の実施、対応フローの明確化など追加工数が発生することも覚えておきましょう。

違反時の指導・勧告・公表リスクと社会的信用の低下

法令違反が認定された場合、行政機関からの指導や勧告を受け、是正が不十分であれば公表に至る可能性があります。
企業名が公表されれば、取引先や顧客からの信頼低下を招き、長期的なブランド価値にも影響しかねません。

デメリットへの理解を深める!新法で禁止される具体的な行為

フリーランス新法では、取引の公正性を確保するために禁止行為が明確化されています。
受注者・発注者の双方が内容を理解していないと、意図せず違反に該当してしまうでしょう。

ここでは、代表的な禁止行為を整理します。

受領拒否や報酬の減額など「禁止行為」の定義

新法では、正当な理由のない受領拒否や合意済み報酬の一方的な減額が禁止行為とされています。
成果物を受け取らずに支払いを拒む行為や、契約締結後に条件を変更して報酬を引き下げる対応は、取引の公正性を損なうため規制対象です。

これらはフリーランスの収入基盤を不安定にする要因となるため、行政指導や勧告の対象となる可能性があります。

著しく低い報酬額の設定や不当な経済上の利益提供要請

著しく低い報酬額の設定や、業務内容に見合わない過度な無償対応の要求も禁止行為に含まれます。
相場とかけ離れた報酬提示や、追加作業を無償で求める行為は、立場の弱さを利用した不当な取引と判断されてしまうでしょう。

新法は対等な取引環境の確保を目的としており、発注者には合理的な条件提示が求められるます。

やり直し要請の制限と返品に関するルール

やり直し要請や返品についても、無制限に認められるわけではありません。
契約内容に基づかない過度な修正依頼や、不当な理由による返品は規制の対象となります。

成果物の不備が明確でないにもかかわらず再作業を求める行為は、フリーランスに過大な負担を与えるため問題視されます。

逆にメリットはある?フリーランス新法が目指す取引の適正化

フリーランス新法は規制強化という側面だけでなく、取引の透明性向上という明確な目的も持っています。
そこで以下では、受注者と発注者の双方が安心して継続的な関係を築けるよう、具体的な適正化の方法を解説していきます。

報酬支払い期日の60日以内ルールによる資金繰り改善

報酬支払い期日が原則60日以内に設定されることで、フリーランスのキャッシュフローは安定しやすくなります。
従来は支払い遅延や長期サイトによって資金繰りに不安を抱えるケースもありましたが、期日の明確化により計画的な経営管理が可能になります。

入金時期が見通せることで事業投資や生活設計も立てやすくなり、経済的な不安軽減につながるのです。

契約内容の書面化・データ化によるトラブル防止

契約内容を書面または電磁的方法で明示する義務は、認識の食い違いを防ぐ効果があります。
業務範囲や報酬額、納期などを明確に記録することで、後から条件変更を巡る紛争が生じにくくなるでしょう。

また電子契約を活用すれば管理効率も高まり、履歴保存による証拠性も確保できます。

就業環境の整備による安心して働ける基盤づくり

新法ではハラスメント防止措置や育児・介護への配慮も求められ、フリーランスの就業環境改善が図られます。
これにより外部人材であっても一定の保護が及び、安心して業務に専念できる体制づくりが進みます。
報酬管理や契約条件の明確化とあわせて、取引全体の透明性が高まり、長期的なパートナーシップが形成できるでしょう。

フリーランス新法のデメリットを乗り越えるための具体的な対策

新法への対応は負担にもなり得ますが、事前準備によって影響を最小限に抑えることが可能です。
契約管理体制の見直しや社内教育の徹底により、法令遵守と業務効率の両立が図れます。
以下で、具体的に見ていきましょう。

契約書テンプレートの見直しと電子契約サービスの活用

契約書テンプレートを新法に対応した内容へ更新し、必要事項を網羅することで違反リスクを低減できます。
さらに電子契約サービスを導入すれば、締結手続きの迅速化や保管管理の効率化が図れます。

デジタル管理により検索性や証拠性も高まり、トラブル発生時の対応も容易になるのです。

発注担当者への法規制周知とコンプライアンス教育の徹底

発注担当者が新法の義務内容を理解していなければ、意図せず違反が発生する可能性があります。
そのため取引条件の明示義務や配慮義務について社内で共有し、定期的な研修やマニュアル整備を行うことが重要です。
また外部専門家の助言やeラーニングの活用も有効で、全社的なコンプライアンス意識の向上につながります。

公正取引委員会や相談窓口の効果的な活用方法

制度運用に不明点がある場合は、公正取引委員会や各種相談窓口を活用することが有効です。
具体的事例に基づく助言を受けることで、誤った判断を避けられます。

また問題が発生した場合も早期相談により是正措置を講じやすくなり、信用低下のリスクを抑えられます。

まとめ:フリーランス新法のデメリットを理解しよう

フリーランス新法は、労働環境の改善を目指して制定されましたが、企業と個人の双方に新たな課題をもたらす可能性があります。
特に、契約形態の見直しや報酬の適正化が求められる中で、どのように対応するかが重要です。

しかし、適切な情報をもとに行動を起こすことで、これらの課題を乗り越えることができます。

これまでの経験や知識を活かし、新しい法律の下でも成功を掴みましょう。

コラム監修者

特定社会保険労務士

佐藤 広一(さとう ひろかず)

お問い合わせ

<資格>

全国社会保険労務士会連合会 登録番号 13000143号

東京都社会保険労務士会 会員番号 1314001号

<実績>

10年以上にわたり、220件以上のIPOサポート
社外役員・ボードメンバーとしての上場経験
※2024年支援実績:労務DD22社 東証への上場4社
アイティメディア株式会社(東証プライム:2148)
取締役(監査等委員)
株式会社ダブルエー(東証プライム:7683)
取締役(監査等委員)
株式会社エージェントグロー 取締役
経営法曹会議賛助会員

<著書・メディア監修>

M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック』(労働新聞社)
図解でハッキリわかる 労働時間、休日・休暇の実務』(日本実業出版社)
管理職になるとき これだけはしっておきたい労務管理』(アニモ出版)他40冊以上

TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』監修
日本テレビドラマ『ダンダリン』監修
フジTV番組『ノンストップ』出演